私のエッセイ

2017.02.17更新

今年は今のところ近年になく台風が少ないようですが、本来なら本格的な台風シーズンはこれからですのでまだまだ油断はならないと思います。
ところで、先生方は昨年の10月20日の夜から21日の早朝にかけて神戸では最大風速17,7mと吹き荒れた台風23号を憶えていらっしゃいますか。これはその時に起こった話です。あの夜私は早くから床に入りテレビの台風情報を観ながらいつの間にか眠ってしまっていたようです。何時頃でしたか、寝入ってまだ間もない頃だったと思います。私は突然天井の上の方からのバリバリという大きな音にびっくりして目が醒めました。尤も私の家は高層マンションに囲まれていますので、普段からビル風が強く吹きますが、この夜の風はまた格別でした。私はこの音は一体何だろうと思いながらも睡魔に襲われ眠ろうとするのですが、うとうとするとバリバリ、うとうとするとまたバリバリで、朝の3時頃までは殆ど眠れませんでした。風も明け方までには治まり、翌朝私はいつものように主夫仕事、いつものように診察、さてこれから昼食にかかろうという時でした。家の近くの真福寺の奥さんが訪ねて来られたのは。そして奥さんはこう切り出されたのです。「実は今朝気が付いたのですが、うちの境内に先生のビルの屋上の看板が二つ折りになって飛んで来ているんです」と。
   一瞬私は耳を疑いました。真福寺といえば私のビルから直線距離にして数十米も離れている、しかもその看板はブリキ製で、長さ7m、幅1,5m,重量も20kgはあろうかという代物、いくら強風に煽られたといってよもやそこ迄は、まさかまさかの想いでした。と同時に夜中のあのバリバリ音にも納得がいきました。それにしてもよくぞまあ途中の家や道路に落ちなかったものだと内心ほっとしたのでした。早速手土産持参でお宅を訪問、ひたすら平身低頭ご迷惑をお詫びした後、出入りの工務店の手を借りて見るも無残な看板をやっとの思いで家に運び終わって、先ずは一件落着というくだりでした。
 でも私はその時つくづく思いました。この真福寺というのは6年前の家内の葬儀を執り行った寺、そして私もまたそう遠くない将来お世話になるであろう縁りの寺、そのお寺を、図らずも私が診療所のビル改築以来26年間付き合ってくれたこの看板が自分の死に場所として選んでくれたとは、誠に、天晴れ!天晴れ ! ----- と。
                                  (平成17年)

投稿者: 中野産婦人科

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