私のエッセイ

2017.02.17更新

ふと思う。中絶手術の真っ最中、サクションのモーター音に混じって患者の安らかな寝息が聞こえてくる。ああ、今でなくて良かった。またふと思う。行きつけの床屋でカミソリを当たってもらっている。そろそろ眠気を催して来た。ああ今でなくて良かった。またふと思う。二人の子供達はそれぞれ学校へ。妻はデパートに買い物に、私は一人居間でお茶を飲みながらサッカーのテレビ観戦と、ごく普通の日常生活のパターンだ。ああ今でなくて良かった。またふと思う。妻が台所で天ぷらを揚げている。ジュジュジューという音と共に芳しい香りが居間の方まで漂ってくる。ああ今でなくて良かった。----- 私はふとこの度の地震の時間帯について考える。あの午前5時46分という時刻は、先ず殆どの家庭では家族揃って未だまどろみの床の中にいた時間帯でも、また暗闇からやがて明け行く時間帯でもあった。言い方は些か不謹慎かも知れないが、あの地震がどうしても回避出来ないものだったとすれば、5時46分という時間は、それよりも早くても不可、すれよりも遅くては絶対に不可という、或る意味ではせめてもの救いと言えば救いの時間帯ではなかったかと言えよう。例えば、これより1,2時間早かったら真っ暗闇のパニックが、もし1,2時間いや数時間遅かったら、関東大震災以上の阿鼻叫喚の地獄絵を見ていたに違いない。だから私には、この度の地震がどうしても避けられぬ自然界の「運命」だったとするなら、ひょっとしたら、せめてその時間帯の配慮だけでもと、何か大きな力が働いたような、そんな気がしてならないのだ。
                              (平成7年)

投稿者: 中野産婦人科

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