月経のお悩み

月経のお悩みとは

月経のお悩みとは月経は通常、25~38日ごとに繰り返され、期間は3~7日、月経量は20~140mlとされています。
ただ、非常に個人差が大きく、またホルモンバランスの乱れなどをきっかけとして周期が長くなったり短くなったり、月経量が多くなったり少なくなったりといった変化がみられることも少なくありません。激しい痛みのため日常生活に支障をきたす方もおられます。
月経にかかわるお悩みがございましたら、どうぞお気軽に当院にご相談ください。

月経不順

月経周期は28~30日であることが多く、正常な月経周期は25~38日とされています。
それ以外は月経周期異常であり、頻発月経(24日以内)・希発月経(39日以上3ヵ月未満)・続発性無月経(3ヵ月以上)に分類されます。
排卵障害の可能性が疑われます。

生理不順(排卵障害)の原因

思春期、更年期(生理的排卵障害)
ストレス、不眠、環境の変化、ダイエット(やせ)、体重の増加(肥満)、激しい運動など
代表的な疾患

高プロラクチン血症、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、神経性やせ症(拒食症)、甲状腺機能低下症など。

  • 高プロラクチン血症

薬剤によるものが多い。原因となる薬剤は精神科の抗精神薬・抗うつ薬・抗不安薬(デパスなど)、消化器科の胃腸薬・制吐剤(スルピリド、プリンぺラン、ナウゼリンなど)などの薬剤の頻度が高い。その他降圧剤(アルドメット)、抗アレルギー薬(セルテクト)など。乳汁漏出や月経不順・無月経が起こる。

  • 神経性やせ症(拒食症)

標準体重の-20%以上のやせ、食行動の異常(拒食・大食い・隠れ食いなど)、無月経。

  • 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)

生殖年齢女性の5~8%と高率に存在する。
卵巣から男性ホルモンが過剰に産生されることが原因である。男性ホルモンにより卵胞発育が抑制され、排卵障害のため月経不順・無月経といった月経異常がみられる。

【症状】肥満、男性化徴候(多毛、にきびなど)、不妊
【内分泌検査】男性ホルモン高値またはLH高値かつFSH正常
【超音波検査】卵巣の腫大、多数の小卵胞
【治療】
・肥満があれば減量することで排卵率の改善が得られる。
・挙児希望がある場合:排卵誘発剤。
・挙児希望がない場合:ホルモン療法(低用量ピルなど)、腹腔鏡下卵巣多孔術。
※長期の月経異常が続くと子宮体がんのリスクが高くなる。1~3ヵ月に一度は消退出血を起こすことが望ましい。

生理不順の種類

月経量・期間の異常

過少・過短月経

月経期間が2日以内、月経量が異常に少ない(20ml以下)状態です。
目安は月経の2日目にはナプキンが必要ないくらいの量です。
代表的な原因として子宮発育不全(女性ホルモンの産生不足・子宮奇形)があります。治療は女性ホルモンの産生不足であればホルモン療法、子宮奇形であれば場合により手術を行います。

過多・過長月経

月経期間が8日以上、月経量が異常に多い(140ml以上)状態です。
目安は1~2時間でパット交換が必要なくらいの量です。
レバーのような血のかたまり(凝血塊)が出たり、貧血症状をおこすこともあります。
また、子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症、子宮がんなどの症状として過多月経が生じていることがあります。早めに受診し、検査を受けましょう。

月経周期の異常

頻発月経

月経周期が24日以内である状態です。代表的な原因として無排卵周期症・黄体機能不全があります。
挙児希望がある場合は排卵誘発を行います。
挙児希望がない場合は経過観察とする場合も多く、貧血症状で日常生活に支障をきたしている場合が治療(ホルモン療法)の対象となります。

(代表的な疾患)
・無排卵周期症:排卵なし。基礎体温が1相性、高温相がない。
・黄体機能不全:排卵あり。基礎体温が2相性、高温相が10日以内(正常は14日)。

希発月経

月経周期が39日以上(3ヵ月未満)である状態です。排卵がない場合は治療が必要になります。

(挙児希望がある場合)

排卵誘発
(挙児希望がない場合)
ホルモン療法を行い1~3ヵ月に1度は月経を起こします。

※排卵のない状態が長期間続くと子宮体がんの発生リスクが高まります。

(代表的な原因)
ストレス、ダイエット(やせ)、体重の増加(肥満)など。
(代表的な疾患)
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、高プロラクチン血症など。

続発性無月経

これまであった月経が3ヵ月以上こない状態です。排卵障害が原因であることが多く、原因の特定が必要です。

治療

挙児希望がある場合は排卵誘発を行います。挙児希望がない場合はホルモン療法を行います。

月経困難症(月経痛がひどい)

月経血の排出がうまくいかず、月経時に激しい下腹部痛、腰痛といった症状を伴い日常生活に支障をきたす状態です。
また、頭痛、吐き気、嘔吐などの症状を伴うこともあります。

機能性月経困難症

月経困難症のうち、大部分を占めるのが原因疾患のない機能性月経困難症です。
月経に伴い子宮内膜でプロスタグランジンという物質が作られることで子宮が収縮し、痛みが生じます。

(好発年齢)
10歳代後半~20歳代
(特徴)
月経の1~2日目に症状が強い。

器質性月経困難症

器質的疾患が原因となって起こるのが、器質性月経困難症です。
子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症、子宮や卵巣の炎症、子宮奇形など。

(好発年齢)

30歳以降
(特徴)
月経4~5日前から月経後まで続く。

検査

問診で月経痛の程度・月経量や期間・その他の随伴症状、それらが出現する時期、既往歴、妊娠・出産歴などをお聞きます。
その後、内診・超音波検査、必要に応じて血液検査を行います。

治療

機能性月経困難症の場合には、まず鎮痛剤による治療が基本となります。
症状が強い場合には、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(低用量ピル)、ミレーナ、漢方薬による治療を行います。
器質性月経困難症の場合には、原因疾患の治療が必要です。

※漢方薬:当帰芍薬散、加味逍遥散、桂枝茯苓丸、桃核承気湯、芍薬甘草湯など。

月経前症候群(PMS)

月経前症候群(PMS)ホルモンバランスの乱れなどを原因として、月経前の3~10日に起こる腹部膨満感、嘔気、頭痛、手足や顔のむくみ、乳房の張り・痛み、イライラ、気分の落ち込みなどの心身の不調の総称です。
月経が始まると同時にこれらの症状が軽快するという特徴を持ちます。月経前症候群は、女性の約80%が一度は経験すると言われています。一方でその認知度は十分ではなく、気のせいだろうと片づけたり、我慢して過ごしたりしている方が少なくありません。

診断

症状の出現時期が月経前の3~10日で、月経開始とともに減退・消失するかで診断します。

治療

低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(低用量ピル)による薬物療法を行います。
適度な運動・規則正しい生活・睡眠などの生活指導、漢方薬が有効なこともあります。

※低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(低用量ピル):特にヤーズが有効。
※漢方薬:当帰芍薬散、加味逍遥散、桂枝茯苓丸、加味帰脾湯など。
・精神神経症状でも加味逍遙散はイライラに、加味帰脾湯は気分の落ち込み・不安に有効です。また不眠症に対しても効果があります。
・むくみに対して柴苓湯や五苓散を併用することもあります。

過多・過長月経(月経量が多い)

月経期間が8日以上、月経量が異常に多い(140ml以上)状態です。
レバーのような血のかたまり(凝血塊)が出たり、貧血症状をおこすこともあります。
子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症、子宮がんなどが原因になっていることもあります。
1~2時間ごとにナプキンを交換する必要がある、以前より明らかに月経量が多い・月経期間が長いという場合には、お早目にご相談ください。

検査

問診で月経量や期間・月経痛の程度・その他の随伴症状、それらが出現する時期、既往歴、妊娠・出産歴、現在服用中のお薬(抗凝固薬など)などをお聞きます。
その後、内診・超音波検査、血液検査、子宮がん検診を行います。

治療

鎮痛剤や低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(低用量ピル)を用いた薬物療法を行います。貧血が認められる場合には、鉄剤を併用します。
子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症、子宮がんといった病気が見つかった場合には、その治療が必要です。

無月経(月経がこない)

無月経(月経がこない)

18歳になっても初経のない原発性無月経と、これまであった月経が3ヵ月以上こない続発性無月経に分けられます。続発性無月経の頻度が高く、原発性無月経の頻度は比較的まれです。

(原発性無月経)
子宮・卵巣の発育障害、染色体異常など

(続発性無月経)
排卵障害が原因であることが多い。ストレス、ダイエット(やせ)、体重の増加(肥満)など
代表的疾患:高プロラクチン血症、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、神経性やせ症(拒食症)、早発卵巣不全など

検査

原発性無月経の場合

問診で家族歴(血縁者の月経異常など)をお聞きし、身体的特徴を確認します。その後、ホルモン検査・超音波検査など、必要に応じて染色体検査を行います。

※16歳頃までに初経がない場合は検査することが望ましい。

続発性無月経の場合

問診で無月経の期間・それ以前の月経周期・無月経以外の症状、さらにストレスの有無・体重の増減・生活習慣・環境の変化などをお聞きします。
その後、ホルモン検査・超音波検査などで原因部位や疾患を特定します。

治療

ストレス、ダイエット(やせ)、体重の増加(肥満)などを原因としている場合には、その改善を行います。
原因となっている疾患が見つかれば、その治療が必要です。挙児希望がある場合は排卵誘発を行います。
無月経は不妊の原因になるだけでなく、骨粗しょう症(エストロゲン不足)や子宮体がん(無排卵によるエストロゲンの持続作用)の発生リスクが高まります。
そのため、挙児希望がない場合でもホルモン療法が必要となります。

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